マイホームを買うときにほとんどの人が利用するであろう住宅ローン。私はマイホームを買うために十分な貯蓄を用意しましたが、それでも家を買うときにはローンを組むことを決めていました。
一括でお金を払ってしまうこともできるのですが、何があるか分からない世の中でもあるため、いざというときのための資金は残しておくべきだと考えています。
ローンを活用して少しづつ払っても今は低金利で負担が少ない。余裕があれば繰り上げ返済をしていけばいいのです。
しかし、一人社長にとっての最大の壁が住宅ローンの審査が極めて厳しいことです。
大前提:個人事業主や法人経営者の信用度は高くない
一般的なサラリーマンと異なり、個人事業主や小規模法人の役員は極めて信用度が低い。ローンの審査に通らない、もしくは少額しか融資してもらえない可能性があります。
今までも散々苦労しました。家を借りる、クレジットカードを作る、車のローン審査、お金と信用に関わるあらゆる側面で信用度の低さを思い知ってきました。それが最も高額になる住宅ローンともなればなおさらです。
例え1億近い利益を上げていても、銀行の担当者に数千万の通帳残高を見せても、住宅ローンの審査とはあんまり関係ないと言われてしまいます。
今回は私が個人的に経験した住宅ローンの審査を通すまでの経緯と、住宅ローンについて思うところをまとめてみることにしました。
参考までに審査当時の私の実績と信用からみる期待度
- 年齢:36歳
- 法人4期目(3期分の決算書がある状態)
- 子供2人
- 自動車ローン以外の借り入れ無し
- 自分の記憶では信用に瑕疵無し
- 年間の役員報酬はずっと900万で設定
- 会社は一応黒字決算を3期続けた
一見すると問題なさそうに見えるのですが、まあ通るかは五分五分だろうという状況です。
個人事業主の住宅ローン審査が極めて厳しい要因
そもそもなぜ審査が厳しく、通らない人が多いのか?
個人事業と言っても色々ありますが、私のようにサラリーマンから独立してビジネスを立ち上げる人も多いと思います。アフィリエイト、ブログ、ホームページ作成、広告事業など低資本でできるビジネスで脱サラした場合には、たとえ収益的に儲かっていて安定していても審査が厳しくなる要因がいくつかあるのです。
1.仕事の実態・お金の流れがあまり知られていない
まず仕事自体がよく理解されていないのが大きい。税理士さんですらお金の流れが分からず、苦労することも未だに多い現実があります。収支の流れが不明瞭で、イマイチ何やってるか分からない。詳しい担当者が圧倒的に少ない。そのため利益的に大きくても、審査が厳しくなりがちです。
2.無借金でできるビジネスは「信用の蓄積」ができていない
もう一つ見落としがちなのが無借金でできてしまうビジネスであること。一見健全に見えるのですが、「信用度」を積むことができないという側面があります。
お金の融資に関する信用とは、約束までにきっちりお金を返したか?その実績の積み重ねで大きくなります。
事業の成長もさることながら、返済を前倒ししたりきっちり返してきたかどうかがすべて。この人はきっちりお金を返す人だという信用データが蓄積されます、
無借金経営を続けた場合、大きなローンの審査は住宅ローンが初というケースも多いでしょう。そうなれば信用の履歴がほとんどないために、融資する側は慎重にならざるをえないわけです。
大丈夫だろうと楽観的に行くのではなく、常にダメだった場合はどうするか?という手を考えて行動していかないと、描いていたマイホームでのライフスタイルが遠のくことになります。
どこで借りるか?ホームメーカー提携で金利優遇がある場合も
厳しい厳しい言っても、やってみないことには始まりません。現状把握はして心構えをしたうえで行動に移ります。
住宅ローンを借りるときにどこで借りるのが良いか?
一番に気になるのは「金利」ですね。安ければ安いほど月々の支払いが下がり、最終的な支払額も変わってきます。金利は金融機関によって金利が微妙に異なりますので、まずは全体的な相場を知るために情報を調べました。
- 地元で取引がある銀行の窓口で担当に資料をもらう
- ネットで金融機関のサイトを調べて金利をまとめていく
- 住宅ローンの一括審査サービスで銀行以外も調べる
まずは公表されているデータを読むことで、ある程度の金利相場を把握しました。
※住宅ローンには変動金利と、フラット35のような固定金利があります。それぞれのメリットと私がどちらに決めたかは別記事で書く予定です。
意外?一括見積系より地元の地銀の金利が安かった
金利について調べていて意外だったのが、私が調べた中での最安金利は「地元の銀行(地銀)」だったことです。ネットで利用した一括系が最も安くなるかと思っていましたが違ったのです。
どうも「一般公示金利」と「店長決済金利」があるらしく、具体的な打ち合わせをして初めて数字が明らかになります。
担当者が鉛筆でこそっと記載する数字が最安でした。恐らくどの銀行もあると思いますが、話を進めていくうえで明らかになる情報もあるので、うわべだけ広く公開されている情報に流されないようにするべきだと感じました。
金利以外にも付随するサービスで検討
これも知らなかったのですが、金利以外の付帯サービスがついているところが結構あります。
SBI銀行では指定の疾病にかかった際は以後の支払い免除(全疾病保証)が付帯されるなど、金利以外にも目を向けるべき項目があります。
私が検討した地銀では、銀行負担で生命保険に加入することで、疾病や死亡による支払い負担を実質なくすという仕組みがついていたりしました。これらを判断したうえで、どこで審査をお願いするかを決めていきます。
しかし、どれだけ魅力的な融資先を見つけても、審査に通って融資してもらえなければ始まりません。一通り金利や貸し付け条件に付いて目を通したうえで、いよいよ実際の審査申し込み(与信)にはいります。
審査が通りやすい順に金融機関を並べた目安
- 取引がありお金の流れの実態を知りお付き合いの長い地銀・信金
- 信用保証協会(全国保証株式会社など)
- ホームメーカーで取引実績の高い金融機関
- ネット系の金融機関
1.もっとも審査が通りやすいのは、お金のやり取りをしていたり、金融商品を買うなど取引のある金融機関(地銀や地元の信金)です。ローンの相談にも積極的に乗ってくれたり、担当者がいれば人間的な力で審査を通してもらえる可能性もあり、やっぱりお付き合いって大事だなと思わされます。メガバンクだとここまでの関係を築くのは難しいため、将来的にローンを考えるなら独立当初から地元の金融機関と仲良くしておくのは超絶推奨です。
2.金融機関で取引がない場合は、人間的な信用は一切関係なく、過去の信用履歴や現在の収入源などをもとに審査をしてもらうしかありません。こうなると銀行系では審査基準が非常に厳しくなるため、信用保証協会などの住宅ローンを利用する場合があります。あくまで傾向ですが金融機関よりも審査が通りやすく、その代わり金利はやや高くなるというものです。
3.ホームメーカーと提携している金融機関というのがあります。これはある程度上の方で取引があるのか、指定の金融機関であれば口利きをしますというようなケースも実際にあります。ただそれでも取引のない金融機関の場合は難しいことが多いので期待値は低め。
4.最後にネット銀行系ですが、こちらはネット起業系でも使ってる人が多くて有利に見えます。しかし実情は審査厳しいのは変わらないということ。よく考えれば、審査においてはデータで見る数字でしか判断されないのであり、ネット系だから通りやすいとかそういうことはないはずですからね。
このあたりの実態を踏まえたうえで、具体的な審査申し込みへと進んでいきます。
審査に必要な書類から見る事前にできる準備と対策
まずは必要な書類から、審査で見られる項目について予測し、対策を立てるべきかと思います。
個人事業の人が住宅ローンの申請をする場合、一般に必要とされるのは以下の書類。
- 個人の源泉徴収票3年分
- 法人(個人事業)の決算書・確定申告書3年分
- 本人確認書類(免許・健康保険証など)
書類は多くありませんが、基本的にこの情報を見て審査されるわけです。謄本とか印鑑証明などは審査の時点では求められませんでした。
重要なのは財務状況と、役員報酬の数字。
担当者が数値を見ながらボソボソッと出ていた声に聴き耳立てていると、
- なるほど、業績自体は年々伸びているんですね…
- 役員報酬は3年同じ数値で設定してこられたんですね
- 黒字なのでなんとか行けると思いますー
このようなところに目を向けていたので、やっぱり黒字化していて、変な報酬設定とかお金の使い方をしていないかはじっくり見ているっぽいです。
決算書に関しては、いわゆる税金が分かる印鑑が押された書類以外に、経費の項目とか取引先などに関する情報までほぼすべてをコピーして持っていきました。
あくまで私がメインで話をしていた地銀での対応ですが、こうした書類からお金の使い方や経営の健全性などを判断して決めていくのだと思われます。
一応ですが、私は住宅ローンを借りることも想定にいれて、3期分は何としても黒字で通してお金の使い方には気を使っていました。銀行によっても審査基準は違いますが、なるべくマイナス要因となりうることをデータに残さないように前々から準備をしていくことも大事なのかなと個人的には思います。
頭金を多く入れるかどうかで評価は変わる傾向にある
もう一つ、審査を通しやすくする対策としては、頭金をできるだけ入れる前提で話すということ。
これは銀行の担当さんにも聞きましたが、頭金の有無は極めて重要であるとハッキリ言われました。
金額は借り入れる額によっても変わると思いますが、できる限り最初に入れるお金を用意しておくことで心証は変わるのかなと。蓄えがあることは支払い能力があることにもつながりますからね。
審査する時はできるだけ同時に一気に複数社へ行うこと
いざ住宅ローンの申請をするにしても、審査が通らない状況はできる限り避けたいもの。借りること前提で考える場合、審査に落ちればまた振り出しに戻ってしまいますからね。
そこで、付き合いのある金融機関一社だけではなく、複数の住宅ローン取り扱い期間に一括で審査を申し込めるサービスを使うのも手です。
金融機関により審査項目は微妙に異なります。勘定項目の何を重視するかの違いで、通りやすい、通りにくいというに違いがあるのは事実です。そのため一度に複数社にローン審査を依頼することで、それだけチャンスも広がるわけです。
私もホームメーカーに紹介された金融機関以外に、付き合いある信金と、住宅ローンの一括審査サービスも活用して審査をしてもらいました。
しかし、ここで注意したいことがあります。
ローン審査をお願いする時には、審査を申し込む予定の金融機関に同時に一気に申請すること。
金融機関って横のつながりが広いので、審査状況がどうなっているかってある程度把握できるようです。もしもA銀行で申請してローン審査に落ちた場合、その情報は何かしらの信用機関を通して他の銀行にも伝わっている可能性があるということ。これは以前車のローンの審査を取り扱っていた時にもよく言われたことです。
仮にB銀行が審査を通すか迷っているところで、A銀行からの情報を受け取ったとしたら、審査に落ちているという事実はマイナス要因になりうるでしょう。
これがどこまで信ぴょう性あるかはわかりません。こうした内部の裏の事情に精通している業界人でもないわけですから。しかし、過去に自動車ローンの取り扱いにおいてはこうした情報のやり取りがなされているとしか思えないようなことが度々ありました。
このため、できる限り審査は一度に行うことで、マイナス情報が出回ってしまう前に、正当な審査をしてもらうべきだと思うわけです。
情報が一気に増えるという点では面倒な部分もありますが、こればかりは本当にやってみないと分からないことなのでできるなら一括審査も活用することをおすすめします。
複数同時審査がカギ:住宅ローンを一括審査したサイトはこちら
個人事業主の住宅ローンまとめ
今回私が経験をした中で、住宅ローンの審査と審査を通すためのポイントについて思うところをまとめてみました。
- 金利はネット系が安いとは限らない(地域にも目を向ける)
- 事業の黒字化、適度な役員報酬、健全な決算書
- 審査はできるだけ一度に通して公平な評価を受ける
- 事前に金融機関との関係づくりも大事である
結果的に審査は地元の銀行にて無事通過し、大きな問題なく次の段階へと進めるようになりました。ヒヤヒヤする第一の壁を突破できたので、いよいよ理想の家を実現するための設計に入っていくわけです。
とにかく個人事業主(特に専業アフィリエイターとかブロガーとかネット広告系のビジネス)は信用度が低く見られがちなので、不安であれば事前に信用を高める努力はしたほうがいいかなと思う次第です。
ポイント:このことから少額づつでも融資を受け、できるだけ前倒しで完済して、少しづつ借りる額を増やすというのを繰り返していき、お金を借りる上での信用を蓄積すると良いという話も聞きました。ローンを借りる予定の銀行と取引をして、お金の流れを作っておくことも審査を通しやすくするための事前対策と言えます。