日産自動車が満を喫して発売した、ノートEpower。電気自動車リーフと同じモーター駆動システムを組み込みながら、発電専用としてエンジンも搭載している異色のコラボ。
電気モーター独特の初速が速い力強さと、電気自動車の欠点である航続距離を大幅に伸ばせることから、乗り換えに興味を持っている人も多いのではないかと思う。
電気を溜める蓄電池こそあるが小型にとどめられていて、走行用の充電は常にエンジンを駆動して補充していくという仕組み。
エンジン自体回転があがらず、最も燃費の良い場所を制御して発電するため、燃費性能を高めつつ、電気自動車の欠点である走行可能距離を大きく伸ばせるという点に最大の特徴がある。
今回は、今まで10年間1.8lエンジンの日産ティーダに乗っていた親父が、ノートEパワーに乗り換えたのでいろいろと聞いてきたことをまとめてみます。
1.5ℓエンジン単体より確実に力強い!遠出も楽
今回一番にあげたいのは1.5lクラスの小型車に電気モーターを組み込んだ点。小型かつ、十分に力強い加速性能を手に入れた。
もともとノートは小型で運転しやすく、日常ユースとしては使い勝手もよい点が評価されていた。
しかし、少し遠出をしたり山間部をドライブするとなると実質1.2lというエンジンに力不足を感じ、走行性能に不安を感じていたユーザーも少なくない。これは他メーカーのコンパクトカーでも同じで、いわゆる「中間の車」が玉不足になっている。
親父は長らく日産ティーダの1.8l搭載車という珍しい車に乗っていたが、これは取り回しのしやすさと加速性能が上手くバランスがとれていたのが理由。高速でも山道でも余裕で走れるため、運転がとにかく気楽だったという。
今やコンパクトカーというと1.5l以下のエンジンがほとんどで、走行性能は実際劣る面は否めない。親父は定年して旅行が趣味となり、車で遠くまで出かけることを楽しみとしている。それだけに走行性能は高い方が運転が楽だし疲れない。
一方で母親も共用なので、日常の取り回しのしやすさは欠かせない。コンパクトでスーパーなどの駐車場や田舎の細い道を走るには小型車であるのが絶対条件。しかし、現状は小型で2lクラスの車ってほとんどなく、パワーを求めれば車体も大型になってしまう。定年夫婦2人で乗るのにミニバンはいらないし、我慢して長距離運転をするのも疲れてしまう。このため長らく乗り換えには後ろ向きであった。
ここに出てきたノートのEパワーは、相反する2つの要素をクリアできたということで、重い腰を上げて乗り換えるきっかけになってくれたということだ。
電気自動車に乗ったことがない人も多いと思うが、モーターの加速は想像以上にパワフルで力強い。しかも初速が速いため、停止から発進するときのもたつきが一切なく、市街地では本当に運転しやすい。ノートは常にエンジンで発電してモーターを回すため、ガソリン満タン時の航続距離は理論上1000キロ近くにもなる。今まで決められた場所でしか充電できなかった電気自動車のデメリットが克服されていることになる。
日ごろは日常ユースで、たまに遠出の旅行というならピッタリなのが、ノートEpowerの一番の魅力になると思う。
一般ユーザーによるノート電気自動車の実燃費
気になるノートEパワーの実燃費は、燃費モニター上で平均燃費20.5と表示されていた。ガソリン1リッター辺りカタログ数値上の燃費は34キロなので、実際には相当及ばない数値。
今回話を聞いた時点ではまだ納車されて1か月であり、走行モードをパワーモードにして加速を楽しんでいたというから仕方ない。遠出もしていない市街地チョイ乗りばかりというから、これくらいになってしまったともいえる。

ノートEpowerのメーターパネルはゴチャゴチャしていなくて見やすい
ノートEpowerはエンジン発電以外にも、回生充電でアクセルオフ時に充電していく。こまめにアクセルの踏み直しをしたり、ストップ&ゴーが多い市街地では不利なのはどの車も変わらない。燃費を伸ばすためのコツや、癖を理解して乗っていればもう少し伸びてリッター25キロ程度には迫れる期待値はあると思っている。
実際に走らせると分かるが、エンジンの回転は一定ではなく、加速に応じて微妙に回転数を変えているのが分かる。当然アクセル踏み込めば多くの電力を必要とするのでエンジンも回転を上げて充電量を増やそうとしている。この辺の感覚でエンジンが唸らずに済むレンジを見つけながら走行することで、効率よく燃費を伸ばせるのだろう。
エンジン音はするのである意味自然な走行フィール

ハンドルはスポーツカーでよく採用される形状。賛否あるが、車の性格からして、走りの楽しみを予感させる良いアクセントになっていると思う。
走ってみた感じは、極めて自然でギクシャクしない走行フィール。モーター独自の滑るような走り出しがずっと続くし、少しアクセルを踏めば瞬時に背中をグッと押されるような力強さを感じる。
これは走らせていて非常に面白い。アクセルの踏み込みにダイレクトに加速がついてくるのは、エンジンには無い電気自動車の最大の楽しみ。ついついアクセルを踏み込んでしまいたくなる気持ちもわかる。
完全電気自動車のリーフと比べると、エンジン音はそれなりにする。十分静かなレベルだが、エンジンが起動したときやアクセルを踏み込んだ時は、エンジン音はすぐにわかるレベルで聞こえてくる。これはある意味では自然で違和感がないし、静かすぎて不安ということもないので感覚として馴染みやすい。
走行モードを切り替えるボタンはシンプルにシフトレバーの横についている。ひとたび押せばわかりやすいレベルで変化するので、乗るときの状況に応じて、燃費重視か加速性能重視か切り替えていけば無駄に燃費を悪くすることもないと思う。

今時の電子デバイスシフトノブ。一度覚えれば操作は簡単だが、長年しみついた感覚によるミスには注意
ただ一つの難点は、シフト操作のデバイス周りは大きく改善されていないということ。電気自動車をはじめ、プリウスなどとも共通しているシフトレバーの方式を採用している。
問題として指摘されているのが、MT車のバックに相当する位置にレバーを操作することで、通常走行のD(ドライブ)に切り替わる点。勘違いによる店舗への突込みや暴走が社会問題になっているが、長年MT操作に慣れ親しんだ人が乗り換える場合には、どうしても違和感が残る部分なのではないかとも思う。
この操作がスタンダードとして定着すれば、自然と問題とされなくなるのかとも感じられるが、特に「MT式の軽トラック・バン」などを併用して乗っているような人は操作間違いには注意すべき。
ノートEpowerについての評価まとめ
ノートは電気自動車の可能性を押し上げて、今まで躊躇していたユーザーを振り向かせるだけの魅力が十分にあると感じた。
私が5年前に車の営業をしていたころは、ちょうどリーフが発売したあたり。まさかノートに搭載されるなど思ってもいなかったが、車体本体価格は177万円から上位グレードで205万円となっている。エンジンもモーターも積んでいることで、一見非効率なシステムに見えるが、既存ユニットに組み込んだことで低コスト化になっているのだということ。
ガソリン車と比べれば割高なのは間違いないが、システムの価値を考えれば十分に勝負できる価格ではないかなとも思う。高嶺の花であった電気自動車がいよいよ普及しだすのかと思うとワクワクする。
私の仲良かった営業マンも、ノートEpowerを購入したという。車にうるさい熟練の日産営業マンが乗りかえているというのは、自動車の評価を測る基準としてこれ以上のものはないのではないか。もし私がまだ営業を続けていたら、どんな人に売ってみようか?妄想をふくらませつつ、ノートEpowerの所感を締めたいと思います。
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